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3Dプリント 技術サポート(UltiMaker)

【技術サポート U602】 Curaのライトニング インフィル機能とは?_UltiMaker_全機種

ライトニングインフィルは、UltiMaker Curaに最近追加された最もエキサイティングな機能の1つで、適切に活用すると、大幅に少ない材料でより速くプリントできるようになります。本記事では、ライトニングインフィルとは何か、これを最大限に活用する方法について詳しく説明します。

ライトニングインフィルとは?

ライトニングは、UltiMaker Cura バージョン 4.12 以降で利用可能な新しいインフィル設定です。インフィルパターンを選択する際に、インフィルドロップダウンメニューで選択できます。

ライトニングは、これまでUltiMaker Curaが提供してきたどのインフィルとも異なります。その理由を理解するために、インフィルとは何か、なぜ存在するのかについてお話する必要があります。


インフィルとサポート:表裏一体

FFF方式の3Dプリンターでオブジェクト設計しプリントする場合、各レイヤーはその下のレイヤーの上にプリントしなければならないことを意識することが重要です。つまり、オブジェクトの特定部分の角度が悪いと、プリンターは空中でプリントしようとし、プリントに失敗することになります。これを「オーバーハング」と呼びます。また、構造的に問題のない2つの部分の隙間が大きすぎると、プリントがたるんでしまい、最終的な造形物表面に凹凸ができることがあります。これを「ブリッジング」といいます。

中央の赤い部分がオーバーハング例
下部の長い平坦部がブリッジング例

スライサーでサポートを「有効」にすると、オブジェクトの下に構造物が生成され、通常ではプリントできない部分をサポートします。これらのサポートは、プリント終了後に取り外すことができます。

中身が詰まったオブジェクトをプリントする場合は、そのオブジェクトの外部形状にのみ注意を払います。しかし、中身が詰まったプリントは多くのマテリアル(材料素材)を使用し、プリントに時間がかかります。時間とマテリアルを節約するために、プリント設定を変更して、オブジェクトを中空にプリントすることが可能です。しかし、その場合、プリント内側にあるブリッジやオーバーハングが気になります。

この問題は、インフィルを使って解決してきました。インフィルとは、インフィル設定に基づき、プリント内部に均一な内部構造を生成するものです。インフィルには、さまざまなパターンを選択することが可能です。例えば、グリッドを選択すると、プリント内部に格子状のパターンが生成されます。

キュービックパターンのインフィル

また、インフィルの割合を変えることで、インフィル密度を変更することも可能です。インフィルの割合を高くすると、パターン密度が高くなり、使用するマテリアルも多くなります。一般に、インフィルの割合が高いとパーツは強くなり、低いと弱くなります。しかし、強度を犠牲にしてインフィルを減らすことには限界があります。非常に低いインフィル率では、オブジェクトの一部が適切に支持されない可能性があり、その部分にたるみや穴が生じることもあり得ます。

構造的な強度を必要としないパーツであれば、20%程度のインフィルでもプリントに成功することがあります。しかし、インフィルパターンは部品内部形状に関係なく一様に生成されるため、このような低い割合に設定しても、多くのマテリアルが使用されます。しかしながら、ここで使用されるマテリアルがすべて必要なわけではありません。

そこで登場したのが、「ライトニング」です。ライトニングインフィルは、オブジェクトのプリントしにくい部分をサポートするために、特別な内部構造を生成し、サポートがなくてもプリントが成功する部分にはほとんどサポートを与えないという意味で、外部サポートのような役割を果たすのです。その結果、より少ないマテリアルで、より速くプリントすることが可能になりました。


ライトニングインフィルの仕組みは?

ライトニングインフィルは、これまでのインフィル技術を進化させたものではなく、内部支持構造を形成するための全く新しいアプローチとなります。ライトニングインフィルは、プリントを成功させるためにサポートが必要なモデル内部領域を特定し、それをサポートすることで機能します。

その結果、インフィルは枝分かれした木のような構造になり、稲妻(Lightning)に似ています。これが、ライトニングインフィルと呼ばれる所以です。

ライトニングインフィルのプレビュー

ライトニングインフィルが効果的な理由の一つは、ビルドプレート上で開始する必要がある外部サポートとは異なり、ライトニングサポート構造はモデル内壁のどこからでも開始し終了することができることです。つまり、使用するマテリアルが少なくて済み、プリントオブジェクトの大部分を完全に空っぽにすることができるのです。

その結果、ライトニングインフィルを使用してプリントしたモデルは、中身が詰まったモデルよりもマテリアル使用量を最大90%削減でき、同じインフィル率で他のインフィルを使用した場合と比較しても、50%以上削減できることがよくあります。

モデル上部に近づくにつれ、ライトニングインフィル密度が高くなっています

ライトニングインフィルの生成に伴う複雑さは、スライス時間のわずかな増加につながりますが、それはごくわずかで、数秒追加されるだけです。

ライトニングインフィルを有効にするには、UltiMaker Curaのインフィル、ドロップダウンメニューで選択する必要があります。インフィル選択が表示されない場合は、推奨設定ではなく、カスタム設定を開いてください。それでも見つからない場合は、プレファレンス(Preferences) > Curaを構成する(Configure Cura) > 設定(Settings) > インフィルパターン(Infill pattern)に移動して、インフィルパターン設定が「有効」になっていることを確認します。そして、インフィルパターン横のボックスにチェックが入っていることを確認します。

プレファレンス(Preferences) > Curaを構成する(Configure Cura) > 設定(Settings) > インフィルパターン(Infill pattern)

どの設定を使用するか?

通常、インフィルを使用する際に変更する主な設定は、インフィル率です。しかし、他のインフィルとは異なり、ライトニングインフィルではインフィル率と使用マテリアルの関係が直線的ではありません。代わりに、生成されるインフィル量は、オブジェクト形状に依存します。30%以上のインフィルを使用している限り、プリントの完成に問題はありません。

プリント強度を高めるためにインフィルの割合を高くする場合は、別のインフィル設定を使用する方が理にかなっている場合があります。

また、他のインフィルでは使用できない設定も可能です。それらは、「サポート角度」「オーバーハング角度」「刈り込み角度(prune angle)」「矯正角度(straightening angle)」です。これらの設定にアクセスしたい場合は、Cura設定のメニュー構成(上図参照)で表示、または非表示にすることができます。

これらの設定により、ライトニングインフィルの生成方法をより細かく制御することができます。ほとんどの用途では、デフォルトのままで問題ありません。しかし、実験したい場合には、UltiMaker Cura Settings Guideプラグインで上記設定に関するより詳細な説明を見ることができます。


ライトニングインフィルの用途

ライトニングインフィルは、より少ないマテリアルでより速いプリントを可能にします。唯一のトレードオフは、出来上がったプリント強度が低くなることです。これらの要素により、幅広い用途に対応することができます。

ラピッドプロトタイピング

ライトニングインフィルによるプリント時間短縮は、より迅速かつ低コストで、プロトタイピング工程を繰り返し行う機会を提供します。ライトニングインフィルでプリントされたパーツは、構想段階でのプロトタイプやビジュアルプロトタイプとして使用するのに最も適しています。造形物次第で1回のプリント時間を短縮できるため、1日に何度も繰り返しプリントでき、上市前に製品を十分にテストすることができます。

3Dプリントによる製品試作

装飾品

ディスプレイモデルや機能性を求めないプリントは、ライトニングインフィルに最適です。特に、胸像や像のような内部面積の大きなプリントは、プリント時間を何時間も短縮できるため、3Dプリントしたアートで自宅を飾りたい人にライトニングインフィルは最適です。

ライトニングインフィルでプリントしたオブジェクトは、少なくとも2~3枚の壁面レイヤーでプリントする限り、これまで通り扱うことができます。つまり、テーブル天板やウォーゲームの地形、ボードゲームのコンポーネントも、ライトニングインフィルの理想的な使用例と言えます。


環境に配慮したプリント

3Dプリントの環境負荷が気になる方は、ライトニングインフィルによって材料の無駄を減らせることをご存知でしょう。従来のインフィル設定を使用する場合、不要な内部インフィルが大量にプリントされます。

つまり、より多くのプラスチックが使用され、出来上がったパーツはリサイクルや堆肥化が難しくなります。ライトニングインフィルでは、プリントに必要なインフィル量のみを使用し、それ以上は使用しません。さらに、プリント速度が速いということは、1回のプリントで使用する電力も少ないということです。


低予算でプリント

低予算で3Dプリントをしたい人は、ライトニングインフィルを使用すると、大幅な節約になります。ライトニングによってマテリアル使用量が削減されるため、スプール(フィラメント)が長持ちし、1回のプリントコストが削減されます。さらに、プリント速度が速いということは、プリンタ稼働時間が短くなり、電気代やプリンタのメンテナンス費用が少し節約できることを意味します。

より少ないマテリアルでより速いプリントを体験していただくために、ぜひライトニングインフィルを試してみてください。UltiMaker Curaをダウンロードして、今すぐ高速プリントを始めましょう!

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3Dプリント イベント

Formlabs から Fuse1用新パウダー、ナイロン12 GFが発表されました

Formlabs社から、SLS方式プリンターであるFuse1用の新パウダーが発表されました。

ナイロン12 GF パウダー:高剛性と耐熱性が求められる高機能パーツ製作に最適

内製化のハードルが過去に例を見ないほど下がり、これまで十分機能していたサプライチェーンに新たな課題が日々生まれる中、Fuse1を生産業務に適用することは、スマートな選択肢となります。新たなナイロン12 GF パウダーとSLS方式3Dプリンター Fuse 1により、生産業務におけるフローをより確実にコントロールいただけます。

ナイロン12 GF パウダーは、高剛性と耐熱性が求められるパーツに最適な材料です。特に自動車、航空宇宙分野等における製品開発では、外注や原材料の供給状況に依存することなく、内製で工業用パーツの製作が行えます。

ナイロン12 GF パウダーの代表的な用途

  • 機能確認用の試作品製作や機能部品の小ロット生産
  • 高い寸法・形状精度の長期的な維持が求められる製品
  • 恒常的な負荷に晒されるパーツ
  • 高温環境下においても寸法・形状精度の維持が求められるパーツ

適用可能なプリンター

製品に関する問合せ先:03-6803-0563 / sales@brule.co.jp

ナイロン12 GF パウダー
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技術サポート(UltiMaker)

【技術サポート U202】 フィラメントがプリントコアから漏れ出てしまった_UltiMaker_全機種

フィラメントがプリントコアから漏れ出てしまった
プリントヘッド内に素材が漏れて固まった

※この記事は下記に記載の機種に関する技術サポートについて記載しています

UltiMaker S7 ProBundle
UltiMaker S7
UltiMaker S5 ProBundle
UltiMaker S5
UltiMaker S3
UltiMaker 3
UltiMaker 3Extend
UltiMaker2
UltiMaker2+
UltiMaker2+Extend
Ulti
Maker2+Connect


プリントヘッドに付属するもの全てを交換する必要があります。

シリコンノズルカバーの交換

こちらの症状はプリントコアとシリコンノズルカバーの間にスペースがあるときに発生する場合がございます. 全ての素材で発生が確認されています.

弊社サポートチームまでご連絡下さい。
※当不具合は無償保証の対象外となります。

修理についての詳しい情報はこちらをご覧ください。

こちらの症状はプリントコアとシリコンノズルカバーの間にスペースがあるときに発生する場合がございます。
全ての素材で発生が確認されています。
日常的なメンテナンスとしてシリコンノズルカバーの状態をご確認ください。
取り換えの目安などは動画内で確認して頂くことが可能です。


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技術サポート(UltiMaker)

【技術サポート U303】 停電時、またはプリント中止時のプリントを再開する方法_UltiMaker_全機種

停電時、またはプリント中止時のプリントを再開する方法

※この記事は下記に記載の機種に関する技術サポートについて記載しています

UltiMaker S7 ProBundle
UltiMaker S7
UltiMaker S5 ProBundle
UltiMaker S5
UltiMaker S3
UltiMaker 3
UltiMaker 3Extend
UltiMaker2
UltiMaker2+
UltiMaker2+Extend
UltiMaker2+Connect


UltiMakerはいずれの機種においても停電時や造形中止時に造形を再開することはできません

ビルドプレートに付着している造形物を除去したうえで再度造形を行ってください。


※以下の場合は造形を再開できます。

  1. 造形途中で素材が無くなった場合
  2. ポーズなどで印刷を停止した場合

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技術サポート(UltiMaker)

【技術サポート U304】 サポートを使用するとプリント(造形)が荒れる_UltiMaker_Sシリーズ/3シリーズ

サポートを使用するとプリント(造形)が荒れる

※この記事は下記に記載の機種に関する技術サポートについて記載しています

UltiMaker S7 ProBundle
UltiMaker S7
UltiMaker S5 ProBundle
UltiMaker S5
UltiMaker S3
UltiMaker 3
UltiMaker 3Extend


UltiMaker Curaで印刷設定を見直して下さい

UltiMaker Curaのカスタム項目を選択し検索窓横の三本線をクリックして”ALL”に変更を行って下さい。

  1. スピードの項目内の以下の2項目を変更して頂くことで改善が期待される場合があります。
    ・加速度制御を有効にするのチェックを外す
    ・ジャーク制御を有効にするのチェックを外す
    ※これらの手順を実施すると、印刷時間が増加する場合があります。
  2. デュアルエクストルーダーの項目内の以下の2項目を変更して頂くことで改善が期待される場合があります。
    ・プライムタワーを有効にするにチェックを入れる。
    ・OozeShieldを有効にするにチェックを入れる。OozeShieldの角度を0°に変更してください。
    ※これらの手順を実施すると、素材の使用量と印刷時間が増加する場合があります。

改善が見られない場合

  1. 一度現在の配置の状態でプレビューを押していただき、「カラースキーム」を「ラインタイプ」にしていただくと、サポートと造形されている物の色分けがされます。
  2. その状態で、右側のスライダーを移動して窪んだ部分の造形が始まる辺りまで動かします。
    造形が始まるタイミングで造形物のラインが描画される場所の真下にサポートの支えがきちんと出来ているか確認してください。
  3. 真下に何もないと造形物のために描画された材料が垂れ下がってしまったり、ノズルの動きのまま関係の無い場所にくっついてしまったりする場合がございます。
    こういった場合、造形物の高さを少しずつ変えてきちんとサポートの上に乗るように調節します。
  4. これは、積層厚さと造形物の位置によるもので、積層厚が0.1mmの場合、造形物の造形開始の位置が積層厚さの0.1㎜以下の場合その層が造形されず、 次の層から造形されてしまいます。
    1層抜けた状態で積層されてしまいますので、材料が載るはずであった場所が空で1層分中空に描画されてしまいます。

上記の方法で改善が見られない場合は


弊社サポートチームまでご連絡ください。
詳しい技術サポートについてはこちらをご参照ください。


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【技術サポート U905】 Error 11/Error 63が表示された_UltiMaker_全機種

UltiMakerいずれかの機種でError 11/Error 63が表示された

※この記事は下記に記載の機種に関する技術サポートについて記載しています

UltiMaker S7 ProBundle
UltiMaker S7
UltiMaker S5 ProBundle
UltiMaker S5
UltiMaker S3
UltiMaker 3
UltiMaker 3Extend
UltiMaker2
UltiMaker2+
UltiMaker2+Extend
UltiMaker2+Connect


このエラー番号は不明なエラーです。

・プリントコアのクリーニング

通常、通信系のエラー時に発生することが多いエラーです。
UltiMaker S5ではマテリアルステーション関係のエラーと併発することがあります。

  • ファームウェアのアップデートで改善する場合があります.ファームウェアのアップデートはこちらの動画を参考に行ってください.

改善が見られない場合

弊社サポートチームまでご連絡ください。
詳しい技術サポートについてはこちらをご参照ください。


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技術サポート(UltiMaker)

【技術サポート U403】 フィラメント(材料素材)のロード中にフィラメントが折れてしまった_UltiMaker_Sシリーズ/3シリーズ

フィラメント(材料素材)のロード中にフィラメントが折れてしまった

※この記事は下記に記載の機種に関する技術サポートについて記載しています

UltiMaker S7 ProBundle
UltiMaker S7
UltiMaker S5 ProBundle
UltiMaker S5
UltiMaker S3
UltiMaker 3
UltiMaker 3Extend


ロード中に半透明のチューブ(ボーデンチューブ)内でPVA等の素材が折れた場合は以下の手順をお試しください.

プリントコアのクリーニング

  1. 進行中のロード手順を最後まで行ってください.
  2. その後本体背面にあります四角い箱(エクストルーダ)上部のボーデンチューブを外してください。
    ※ボーデンチューブを外す際は,ボーデンチューブの付け根部分にC型のクリップ(留め具)がありますのでそちらを引き抜いた後に, 付け根部分の白いプラスティック(チューブカップリングコレット)を押し込んだ状態でボーデンチューブを上に引き抜いてください。
    ※詳しい引き抜き方は下記の動画の1:03 からを参考にしてください。
  3. 同じ方法でヘッドのボーデンチューブも外してください。

素材の取り出し

  1. ボーデンチューブ内の不要なフィラメントを, 折れていないフィラメント等を使用しボーデンチューブから手動で押し出してください.
  2. ボーデンチューブ内に折れたフィラメントが無くなりましたら, 外した時と逆の手順で組み立てを行ってください.
    ※ボーデンチューブ装着時は切り欠き(画像内赤)部分をエクストルーダー側に接続してください.

改善が見られない場合

合わせてこちらの動画をご確認下さい。
弊社サポートチームまでご連絡ください。
詳しい技術サポートについてはこちらをご参照ください。

・動画タイトル


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3Dプリント ケーススタディ

「射出成型機が全部3Dプリンターに置き換わる未来があるのではないかなと思っています。」甲子化学工業様 2 / 2

本ケーススタディ記事は2部構成です。1/2はこちらからご覧ください。

活用事例 2 『FA機器(プラスチック成形品の自動組立装置)の開発』

casestudy-koshikagaku
甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, 自動組立装置, 企画開発部主任 南原徹也様

概要

自社開発したFA機器(プラスチック成形品の自動組立装置)では、Fuse1を活用して、主要部品を設計製作。3Dプリンターを活用することで、大幅な時間およびコスト削減を実現。

プラスチック成形品の自動組立装置, 3DCAD上でのモデル
プラスチック成型品の自動組立装置, 完成品実物
プラスチック成型品の自動組立装置, スライサーソフト「PreForm」上での造形レイアウト1
プラスチック成型品の自動組立装置, スライサーソフト「PreForm」上での造形レイアウト2

切削加工のみと切削加工+3Dプリント(Formlabs Fuse1)での部品点数比較

3Dプリンターを活用することで、従来の切削加工の際に必要としていた製造を意識した最適化設計の時間を省け、部品点数や組立時間も大幅に削減することができる。更に、加工図の作成や細かな加工指示も不要となるため、作業効率は格段に向上する。

Fuse1で作られた、プラスチック成形品の自動組立装置のパーツ, KOUSHIの文字がプリントされている
Fuse1で作られた、プラスチック成形品の自動組立装置のパーツ, ほぼプリントパーツとなっている
Fuse1で作られた、プラスチック成形品の自動組立装置のパーツ, プリントが高精度でなれけば位置決めできない

下表は、「切削加工のみの場合」「切削加工+3Dプリントした場合(3Dプリント部品数)」の部品数比較。

3Dプリントで複数立体部品を一体化することで、部品点数が切削加工のみと比較して215個(51%)削減できていること、 3Dプリンターを活用した場合、加工品の約69%を置き換えできていることが分かる。

活用事例2: 部品点数, プラスチック成形品の自動組立装置, 「切削加工のみ」と「切削加工+3Dプリント」 で比較, Formlabs Fuse1

切削加工のみと切削加工+3Dプリント(Formlabs Fuse1)でのコスト比較

下の比較表は、「切削加工のみで製作した場合」「切削加工+3Dプリントで製作した場合」の製作時間と製作費用の比較になります。切削加工は外注を想定。

総製作時間について、切削加工のみの場合は117時間、切削加工+3Dプリントの場合は88時間となり、25%短縮されていることが分かる。また、総加工費については、切削加工のみの場合は151万円、切削加工+3Dプリントの場合は78.6万円と、約半額(73万円、48%)に削減されている。

Fuse1で作られた、プラスチック成形品の自動組立装置のパーツ, 大型パーツもプリントされている
Fuse1で作られた、プラスチック成形品の自動組立装置のパーツ, 同形状の大量生産はFuse1の十八番
Fuse1で作られた、プラスチック成形品の自動組立装置のパーツ, 切削加工だと部品点数増やすしかない
活用事例2: コスト比較, プラスチック成形品の自動組立装置,「切削加工のみ」と「切削加工+3Dプリント」で比較 , Formlabs Fuse1

※3Dプリンターの使用については、別途機器・設備費などを考慮する必要があるが、プラス12万円程度に抑えられる。

※3Dプリントの材料費は、次表「材料コスト」と同項目であるため青色にしている。

3Dプリント(Formlabs Fuse1)での造形重量と材料コスト

上記3Dプリント(造形)した場合の重量と材料費の内訳。

活用事例2: 3Dプリントの造形重量と材料コスト, プラスチック成形品の自動組立装置 , Formlabs Fuse1

UltiMaker S5」に次いで「Fuse1」を導入されたことで大きなメリットを得られたようですが、以前利用されたいた「Form 2」から「UltiMaker S5」にシフトしたキッカケは、やはり素材の問題やメンテナンス性が要因でしょうか?

そうですね。現場に「Form 2」を置けない理由としては、やはり薬品や粉塵の問題ですね。光造形機は、ミラーの汚れなど粉塵が苦手だと思うんですね。それと、薬品が傷口から入りアレルギーを起こす原因にもなるため、そういった意味でも少し扱いにくいと感じていました。

出来上がるものはすごくきれいですが、サポート構造が付く位置も考えて設計しなければなりませんし、その設計スキルも必要になるため、弊社の年配社員には恐らく使いこなせないなという点も、光造形機を現場に設置していない理由のひとつです。

これまでに導入された3Dプリンターに関する情報は、どこから入手されましたか?

全てネットで検索しています。ネット上にあるレビューや、YouTubeも見ています。海外の方がユーザーも多く事例も沢山あるので、海外のサイトを中心に見ています。

Fuse1」で作られた部品から構成された生産システムに使われる部品にはロゴも入れてありますが、ここにも意図があるのでしょうか?

そうなんです、ロゴは別に無くても良いです。ただ面白いのが、ロゴを配置したことで、材料使用量が減っているんです。従来の金属加工だと、肉抜きすればするほど加工時間が増え、コストも増えるのですが、3Dプリンターだと逆に材料コストがどんどん下がるんです。それにより造形時間が延長されるかというと全然変わらないので、全く真逆の考え方になります。ここは少し慣れも必要で難しいところではありますが、とても面白いですね。

3Dプリントの造形サービスについて

甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, 空調設備の排気方向をずらしている
甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, へび皮をみると、ディティールが造形されていることが分かる

御社では造形サービスも提供されているようですが、そちらのサービスではどちらの3Dプリンターを利用されていますか?

造形サービスでは、基本的に「Fuse1」を使用しています。

受注頻度はどのくらいですか?

既存顧客に対してのみ対応しているので、件数は少ないですね。ゼロの時もありますが、多い時で月10件くらいですね。

御社の造形サービスは、お取引実績のある顧客に限定して提供されている?

そうですね、業界問わず幅広いお客様のご要望に応じています。例えば、お取引のある大学様では、学生さんの卒業制作の出力などにも対応しています。

造形サービスを受けられる際、3Dデータは先方から提供される場合がほとんどですか?

そうですね。基本的にサービスとして対応する場合は、3Dデータをご用意いただきます。弊社でも3Dデータのご用意も可能ですが、それは別のサービスとしてお受けしています。

造形サービスは、価格設定が難しくありませんか?

結局値段が勝負になってしまうと絶対に中国などには勝てないので、価格競争はしないつもりです。そういった面を含め、理解いただけるお客様だけお付き合いするようにしています。

3Dプリントでの開発製品がグッドデザイン賞を受賞、その開発手法とは?

甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, アームスライダ―と共に, 企画開発部主任 南原徹也様

グッドデザイン賞を受賞された「アームスライダー」、こちらの製品開発段階でも「UltiMaker S5」は使われていたのですか?

はい、開発段階からフル活用していました。逆に言えば、「UltiMaker S5」がなければアームスライダーは作れていませんでした。

当初、新聞などからもアームスライダーの件で取材を受けたのですが、その時に見せていた品物は全て「UltiMaker S5」で作った試作品です。それを後処理できれいにして塗装したものを利用していました。

モックアップから成型用の治具に至るまで、一連の行程で「UltiMaker S5」を使われていたということは、まさに3Dプリンターありきのプロジェクトですね。

そうです。弊社では、3Dプリンターがないと仕事が進まなくなってきているくらいです。

活用事例 3 『アームスライダーの試作』

概要

2021グッドデザイン賞を受賞したアームスライダー(直接手を触れずにドアを開閉するできる製品)の試作にも3DプリンターUltiMaker S5を活用。本製品は、コロナ下により短期間での製品化が求められていた。本製品だけでなく、開発のためのドアノブもプリントすることにより、試作デザインサイクルを短時間で回すことに成功した。甲子化学工業では、本製品だけでなく、多くの製品開発にも活用されている。

Ultimaker S5で試作中のようす, アームスライダー
Ultimaker S5で試作中のようす, アームスライダー
Ultimaker S5で試作中のようす, 完成したアームスライダー
実際にドアに設置されたアームスライダー

アームスライダー開発試作における、「型」「切削」「3Dプリント」の時間と材料費比較

3Dプリントによる加工が、圧倒的に有利な結果となっている。切削加工はそもそも製作不可であり、型を使うと2週間以上、材料費のケタが変わる。

活用事例3: アームスライダー開発試作のおけるコスト比較(製作時間、材料費) , Ultimaker S5

仮にアームスライダーのようにやや大きな物を「Fuse1」で出力した場合、FFF方式と比べてコスト増になりそうですが、実際のところいかがですか?

そうですね、多少コストアップには繋がりますが、外注に出すことを考えれば安く仕上がりますし、そこに費やすコストよりも、開発のサイクルをできるだけ短くし効率化を狙う方が、弊社としては優先度が高いと考えています。

アームスライダーはコロナ対策として作っていたため、お客様からも1日でも早く欲しいといご要望があったので、とにかくスピードを優先していました。今までのように外注に製作委託した場合だと、1週間程度掛かるのが普通でしたが、3Dプリンターで内製すると1日で準備ができるため、そこのリードタイム削減効果はとても大きいですね。

アームスライダーは、ドアノブの太さに合わせ、いろいろなサイズを用意されているのですか?

そうです。様々なサイズに対応するため、開発段階で実寸のドアノブが必要でしたが、それぞれのドアノブを1個ずつ買うと、1個1万円くらい掛かり、トータルでは非常に高コストになるため、それぞれのドアノブのデータをダウンロードして、3Dプリンターで実寸のドアノブを作り、製品の開発を行いました。

実寸のドアノブと、取付部品の試作にも3Dプリンターを活用されたのですね。

そうですね。両方を3Dプリンターで作れたことで、すごいコスト削減になりました。

甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, 生産設備に適用されているアームスライダ―
甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, 量産されるアームスライダ―

使用しているマテリアル(材料素材)

3Dプリンター用のマテリアルについてお伺いしたいのですが。UltiMakerでは、純正の「タフPLA」をメインに使用されているようですが、他のマテリアルも試されてますか?

いろいろ試してみて、一番扱いやすいのが「タフPLA」でした。タフPLAは反りにくくて寸法も安定しています。さらに強度もあるので、トラブルも少なくて済んでいます。

熱変化がある場所で使用しても変形などありませんか?g

弊社の利用環境では、40度くらいでしたら問題なく使えています。開発費も含めると、トータルで大幅なコスト削減に繋がっています。

UltiMakerには他にも色々なフィラメントがありますが、他のフィラメントを使われることはありますか?

過去には、ガラス繊維入りナイロンなども試しました。これはお客様からのご依頼で、土を掘削する機械の前面に取り付けるセンサー用部品を作りました。治具用途では使ったことはないですね。

つまり、タフPLAで十分に賄えてしまうということですね。

そうです。

UltiMaker S5でプリントされたナット用パーツフィーダー(治具)
UltiMaker S5でプリントされたナット用パーツフィーダー, ナットが1つずつ滑り台を滑る
UltiMaker S5でプリントされた吸着治具
UltiMaker S5でプリントされた吸着治具, エア接続されている

Fuse1」にはナイロン11ナイロン12の2種類がありますが、現在は主にナイロン12を使われているようですね。そちらのマテリアルを選択された理由について教えてください。

ナイロン11は、自由度が高くて良いのですが、材料価格が高いのネックです。ナイロン12は、それほど自由度は高くないのですが、強度もしっかりあり値段も少し安いので、弊社では基本的にナイロン12を使用しています。できれば、11と12を頻繁に使い分けたいのですが、現在のシステムではそれが難しいので、ずっと12を使っています。

粉末系の機械は材料の交換が簡単にできないのが、唯一の不満点ですね。今の射出成型機は、材料の交換が簡単にできるようになっているので、それと同等に簡単に材料交換ができるようになれば、「Fuse1」のような3Dプリントシステムも普及すると思います。

パウダー(粉末)の管理などで特に苦労されている点はありますか?

それは全くないですね。唯一気にしていると言えば、湿度ですね。「Fuse1」を設置している専用の部屋は、湿度が最適になるようコントロールしています。

生産拠点のFuse1設置ルーム, Formlabs Fuse1とSift1、バキュームが間に設置されている
生産拠点のFuse1設置ルーム, ここには塗装ブースも設置されている

Fuse1」用として、今後リリースして欲しい材料などありますか?

ありますね。エラストマー系を使いたいのと、原理的に無理かもしれないのですが、PP(ポリプロピレン)などの汎用樹脂も使えるようになると、実製品に近いものが開発できるようになると思います。もちろん現行のナイロンも良い素材ですが、ナイロンでなくても良いものも沢山あるので、もう少し汎用性の高い材料が使えれば、もっと安く作ることができるようになります。

生産現場での評価と今後の展開

甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, 企画開発部主任 南原徹也様

3Dプリンターを利用する中で、現場の評価や満足度についてはいかがですか?

UltiMaker S5」は、かなり満足度が高いですね。メンテナンスもほとんど要りませんし、3Dデータを作れば形になるという使い方が現場でもイメージできているので、重宝されてます。また、光造形機のように薬品類を心配する必要もないので、手軽さや健康面からも評価されています。

Fuse1」の方は、オペレーションや後処理に少し時間が掛かるので、用途に応じて使い分けている状況ですが、何れも満足度は高いですね。

実際に3Dプリンターを利用されている方は、何名ほどいらっしゃいますか?

現在、製造部門には4名所属していますが、そのうち3名が使っています。現場ではみんな自由に使いこなしています。

どちらの機種も、ほぼ毎日動いているような状態ですね?

そうですね。現場では「UltiMaker S5」の使用頻度が高いですが、両方とも結構な割合で動いています。

Fuse1」の設置環境についてですが、今後「Fuse1」を増設されることがあった場合、現在と同じように専用部屋を設けて設置されますか?

今後「Fuse1」増設した場合も、個別の部屋に設置したいと思っています。材料が混ざってしまうのも避けたいですし、工場からでる粉塵なども混ざるのが嫌なので、専用の部屋が必要だと考えています。

弊社が「Fuse1」を設置する部屋にはパソコンもあり、塗装ブースも併設されていますが、他社のSLS方式3Dプリンターの場合、同じ空間にパソコンや塗装ブースを置く事はできません。これができるのも「Fuse Sift」を含めたシステムのおかげだと思います。

今後、3Dプリンターを増設される計画はありますか?

私自身3Dプリンターが好きなので、射出成型機が全部3Dプリンターに置き換わる未来があるのではないかなと思っています。最近では、メーカーも大量生産をほとんどせず、少量多品種が主流になってきました。今後もその傾向は強くなると思うので、例えば「Fuse1」を5台、10台並べ、3Dプリンターで作る時代が来ると考えています。そんな時には、色々と買い足して、システムを構築したいなと思います。

注釈:取材時は、撮影のためマスクを外しています。甲子化学工業株式会社では、新型コロナウイルスに関連した感染症対策として、検温、マスク着用、手指消毒、3密回避のほか、健康管理を徹底しています。

甲子化学工業株式会社
年間1,000種類、1,400万個以上のプラスチック部品・製品製造の実績、誰もが1度は触れたことのあるプラスチック製品を作る大阪市のメーカー。(甲子化学工業株式会社ウェブサイト
取材日 2021年12月10日

取材場所 東大阪市の甲子化学工業株式会社生産拠点

取材対象者
甲子化学工業株式会社 企画開発部主任, 南原 徹也様

取材対象機種
UltiMaker S5 1台
Formlabs Fuse1 1台

製品に関する問合せ先:03-6803-0563 / sales@brule.co.jp

UltiMaker S5
Formlabs Fuse1
Categories
3Dプリント ケーススタディ

「射出成型機が全部3Dプリンターに置き換わる未来があるのではないかなと思っています。」甲子化学工業様 1 / 2

従来の大量生産から、よりカスタマイズされた少量多品種へと変化してきた製造分野では、「ゲームチェンジャー」として3Dプリンティング技術が注目されています。しかし、3Dプリンティングを用いた実用部品製造の多くは、自動車、ガス/オイル、航空宇宙産業などに集中しており、より身近な現場での実態を目にする機会も少なく、製造業における3Dプリンターの有効的な活用方法について理解が進んでいない点が否めません。


多くの業界に対する幅広い展望と、多くの組織や企業に関する深い知識を備えたBruleでは、製造業におけるケーススタディとして、今回、大阪府大阪市に拠点を置く甲子化学工業株式会社様を取材。製造現場における優れた3Dプリンターの活用内容をご紹介いたします。

3Dプリンターを使用している事業と3Dプリンターの導入経緯

御社の事業内容についてご説明いただけますか?

甲子化学工業株式会社は、プラスチック部品や製品を作る会社で、お客様からのご依頼を受け、それを形にする会社です。皆さんがオフィスで使われているオフィス家具の袖机の取手など、様々なプラスチック製品を数多く作っています。その他にも、飲料器具の部品であったり、コンビニに設置される筐体部品であったり、おそらくほとんどの方が弊社の工場で作ったものを、一度は触ったことがあると思います。皆さんにとっても身近なものを作っています。

甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, 企画開発部主任 南原徹也様

身近なプラスチック製品を製造するメーカー様との取引件数も多いということは、工場の稼働率も高いのですね。

そうですね。商社が入る場合が多いため取引は間接的になりますが、扱う製品数も非常に多いため、工場内の生産機器はフル稼働している状態が続いています。

3Dプリンターは、熱溶解フィラメント方式(FFF/FDM方式)の「UltiMaker S5」と、粉末焼結積層造形方式(SLS方式)の「Fuse1」の2種類を導入されていますが、それぞれの機械を導入されたきっかけや経緯をについて伺えますか?

初めのきっかけは、シンプルに「面白そう」からです。私自身モノづくりが好きなので、新しいモノの作り方である3Dプリンターを使ってみたいという思いがあり、最初にFormlabsの「Form 2」(現行機種は「Form 3+」)を導入しました。

「From 2」は光造形方式の3Dプリンターなので、生産治具を作りたいと思っても、紫外線で徐々に劣化するなど強度面で心配がありました。そのような悩みを抱えていた時期に、FFF方式の方が良いのではないかと考え、ノーメンテナンスで使えそうな機種である「UltiMaker S5」を2年前に導入しました。

甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, Ultimaker S5と共に工作エリアにて, 企画開発部主任 南原徹也様

UltiMaker S5」導入後、さらに「Fuse1」を導入されたのはなぜですか?

初めはやはり「使ってみたい」というシンプルな発想から始まったのですが、欲しいだけでは買えない製品なので、いろいろな利用を考えていました。SLS方式はサポート材が必要ないし、表面もきれいで造形の品質が良い。プリント材料であるナイロンは、長期間使っても材料的に安定しているということもあり、最終用途製品にも使えると思って購入を決めました。

パウダー(粉末)を使うSLS方式の3Dプリンターは、様々なメーカーのものがあります。何故「Fuse1」を選ばれたのでしょうか?

それは、後処理システム「Fuse Sift」の存在ですね。実際に他社製品も見学し検討してみましが、あまり現実的ではないと思ったんです。他社の3Dプリントシステムでは、プリント後の後処理工程で粉末の管理がとても大変で、移動やふるいに掛けている際もずっと粉が舞うので、整備された専用の空間が必要になってきます。しかし「Fuse1」では、3Dプリントから後処理までの一連のプロセスが効率化されていて、凄く使いやすいため、自分が作業ミスさえしなければ粉が舞い散ってしまうようなこともありません。

甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, Formlabs Fuse1 Sift1と共に, 企画開発部主任 南原徹也様

3Dプリンターの使い分け(FFF / FDM方式SLS方式)と使い勝手

御社では、2種類の3Dプリンターの特性を上手に活かし利用されてますが、実際に使ってみての印象はいかがですか?

2種類の3Dプリンタ―を導入するまでは光造形方式しか知らなかったため、それとの比較になってしまいますが。「UltiMaker S5」を使いはじめてみて、こんなにも楽なのか?!と感じました。3Dデータを作って3Dプリンターに送るだけで、欲しいものが出来上がっている。そのイメージで使えるので、すごく驚きました。弊社では、ここ2、3年で1回しかメンテナンスしていないんですが、それでも安定して、失敗もほとんど無く可動している「UltiMaker S5」は、本当に良い機種です。

Fuse1」は、使いはじめてまだ日が浅いので、メンテナンス自体も全くしていません。導入前に一番心配していたのは後処理なんですが、「Fuse1」はそこが完全にシステム化されていて、後処理専用のシステム(Fuse Sift)もあり、粉末材料が極力流出しないような設計になっているため、心配していたほど粉末に対する対策は要りませんでした。当初考えていたよりも手間が掛からないので安心して使えています。

UltiMaker S5」 はFFF方式、「Fuse1」 はSLS方式と、それぞれ異なる造形方式の機械ですが、実際に現場で使われる際、それぞれの造形方式で使い分けはされていますか?

そうですね、基本的にはFFF方式である「UltiMaker S5」で対応できるものが大半です。ただし、サポート材を付けないと造形が上手くいかないようなものがある場合、例えば、エア配管のように、内部に細かい空気の通り道が必要な場合など、難易度の高いサポート材の設置が必要なものは、SLS方式である「Fuse1」を使うようにしています。

FFF方式の「UltiMaker S5」の方は材料も安いものが揃っているので、コストの面からも、極力「UltiMaker S5」を使うようにしています。

ただし、お客様に提供するものなど、見栄を重視したものについては、ほぼ「Fuse1」一択になってきました。以前は、「Ultimaker S5」で出力したものを磨いていため、積層痕を消すのがかなり大変だったんですが、「Fuse1」で出力した物はそれが必要なくなったので助かっています。

3Dプリンター用モデル設計と生産現場でのモデリングへの取り組み

現場で使用されている細かな配管を必要とする治具などの部品にも、「UltiMaker S5」で作られたものが有りますが、配管内にサポート構造が付かないようにするなど、設計上工夫されている部分はありますか?

始めは色々と試していましたが、結局普通の丸(空気の通り道となる円筒状の部分)で設計しても問題ないと分かり、今では何も考えずに丸のままで設計し、出力しています。

「Cura」の設定を大きく変更しなくても、デフォルト設定のままでも十分に必要な物が出力できるのが、「UltiMaker S5」の良いところですね。

甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, UltiMaker S5設置の工作エリア
甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, 工作エリアに設置されたUltiMaker S5
甲子化学工業株式会社 生産拠点にて, UltiMaker S5でプリント中の生産治具

トライ&エラーを重ね、デフォルト設定でも十分にいけるだろうと判断されたということですね。

そうです。弊社では「Cura」の設定はほぼデフォルト設定のままです。「Cura」には沢山の設定項目がありますが、弊社ではほぼデフォルト設定で利用しています。急ぎの案件などに対応する際は、結構シビアに設定を操作しますが、それを社内で共有するのは結構大変です。

ただ、半年前くらいのアップデートで、自分で操作する必要がさらになくなりましたし、カスタム設定しなくても十分な品質のものが出力できるので、現場ではデフォルト設定から選んで3Dプリントしています。

それだけ設計技術が高いということでしょうか?

いいえ、そんなことはないんです。今では、私よりも現場の年配社員の方がよく使っています。現場の年配社員たちも、ここ1、2年で3DCADを覚えたばかりです。私にCADの操作を聞かれてもあまり丁寧に教えられないので、「YouTube見て勉強して」と言って、みんなYouTubeで3DCADの操作方法を学んでいます。YouTubeで動画公開している方達は教え方も上手なので、現場の技術者たちもどんどん吸収し、設計しています。

そこで得た知識を活かし、必要なものを設計して3Dデータさえ送れれば、必要なモノができる。こんな風に特別な設計スキルが無くても作れるのが3Dプリンターの大きなメリットだと思います。

アルミ製のエア吹き出し治具(3Dプリント置換前)
UltiMakerで3Dプリントされたエア吹き出し治具(置換後)
エア吹き出し治具, エアプラグが多数接続されている
エア吹き出し治具, 内部は複雑なエア流路が形成されている

現場技術者の方々が使われている3DCADは、どんなソフトウェアですか?

みんな、AutodeskのFusion 360を使っています。Fusion 360は、安くて機能的にも優れているので、Fusion 360で設計したものをSTLで書き出してプリントしています。

SLS方式はFFF方式と違ってサポート材が要らないですが、設計自由度は向上されましたか?

向上していますね。逆に向上し過ぎてしまい、設計能力が追いついていないところがあります。我々は、従来の量産設計等に慣れてしまっているため、金型で作れるような形状で設計しがちですが、3Dプリンターだとそれをする必要がありません。自由度が高い分、本当はもっとできるはずなので、今後も研究が必要だと感じています。

FFF方式のUltiMakerの場合は、やはりサポートのことを考えないといけないので、その制約を考えながら設計していますが、「Fuse1」はそれをしなくて良いので、これからもっと面白い設計にも挑戦できるので、私自身も楽しみにしています。

Formlabs Fuse1で3Dプリントされた細いエア配管(閉じた状態)
Formlabs Fuse1で3Dプリントされた細いエア配管(開いた状態)
小さく細いパーツの内部にエア流路が作られている
切削加工などの3Dプリント以外の方法では一体製作できない

生産現場へ3Dプリンターを導入したことのメリット(実際の活用効果)

2種類の3Dプリンターを導入したことで、御社にとってどんなメリットがありましたか?

生産現場のオペレーションに関して言うと、改善のサイクルが非常に早くなりました。弊社では、自動化することが大きな命題になっており、それを達成するために日々いろいろなことを考えています。ただ、それを実現しようと思うと、新しい治具が必要になってきます。

ではその治具を、どのようにして作ろうかという時、今までは外注なども利用して金属加工をしていましたが、それには多くの時間が必要になります。金属加工による治具製作は、数十時間掛かるのも珍しくないため、時間が掛かるという理由から後回しになり、思うように進まないことが多かったのですが、社内に3Dプリンターがあると短時間で必要なパーツが完成するので、治具製作のスピードが格段に向上しました。

開発時間の短縮は大きなメリットですが、コスト削減の面ではどうですか?

コスト削減効果も非常に大きいですね。例えば、自社で金属加工する場合、ボール盤で穴をあけたり、金属棒を切断したり、そういった工程に多くの時間が必要になります。また、加工時に発生する金属粉の掃除など、余計な手間が掛かり大変です。しかし、3Dプリンターを使うとその時間が殆ど必要ないため、一連のプロセスに費やすコスト、人件費なども考えると、ものすごい差がでてきます。

現在、コスト面などで不満な点はありますか?

コスト面ではそれほど不満はありません。「Fuse1」においては、弊社独自に色々と実験をしています。リフレッシュレートで新品を30%混ぜるという決まりがメーカー側からあるのですが、それを無視してリフレッシュ0で試してみましたが、意外に大丈夫でした。強度を必要としない部品を作る際は、そうやって使いまわした材料でコストを抑えています。逆に、強度が必要な部品を作る際はきちんとリフレッシュを混ぜたりしているので、思っていたよりも材料コストは掛かっていません。

活用事例 1 『生産用治具(射出成形機械用)』

UltiMaker S5で製作された、内部にエア流路がある生産治具
UltiMaker S5で製作された、内部にエア流路がある生産治具
エア通って内圧かかっているが、プリントパーツからリークしない
自動化に不可欠な生産治具となっている

概要

本治具は、「射出成形により成形した樹脂製品を特定形状に固定したまま冷却するための治具」で、特に寸法サイズが大きい。この他にも、もう少し小さなもの(この事例の1/4~1/2程度の大きさ)にも多数用いており、細かなものを入れると、年間で100件ほど製作している。

3Dプリンターを導入する前は、改善案があっても、外注費用が高くて改良できなかったり、時間が無いため自社製造出来なかったりといった課題を抱えていたが、3Dプリンター導入後は大幅に改善され、治具製造もスムーズに進んでいる。

プリントされた生産治具を外した状態
複数パーツに分かれず、一体加工できるのが魅力

アルミ切削での自社加工、外注加工と3Dプリント(UltiMaker S5)のコスト比較

下表は、「アルミ切削で自社加工した場合」「アルミ切削で外注加工した場合」「UltiMaker S5 を使って3Dプリントした場合」の製作時間と製作費用の比較。

総製作時間について、アルミ切削加工の場合は、自社13時間、外注8時間、3Dプリントした場合は6時間となり、いずれの切削加工よりも短縮されていることが分かる。また、総加工費については、自社12.5万円、外注18.4万円となるのに対して、3Dプリントした場合は7.4万円と、大幅に削減されている

活用事例1: 生産治具を3パターンの方法で製作した場合のコスト比較(費用および、時間) , Ultimaker S5

3Dプリンターを使って内製化することで、外注費を抑えることができているようですね。

そうです。むしろ、今まで外注費が高くてできなかったことができるようになりました。

社内に3Dプリンターがあることで、トライ&エラーもしやすくなったということですね。

そうなんです。今までであれば、金型を作って確認するのに最低でも2~3カ月掛かっていましたが、3Dプリンターなら1日単位で提案ができるようになるので、本当に大きく変わりました。

また、お客様からの要望に合わせ設計案を提案する際、私みたいに経験の少ない若い技術者は、年配の技術者に比べて設計力という点では弱い部分があるのですが、3Dプリンターを活用することで、その能力差を縮め、早いピッチで設計技術も鍛えることができるようになります。

本ケーススタディ記事は2部構成です。2/2に続きます。

注釈:取材時は、撮影のためマスクを外しています。甲子化学工業株式会社では、新型コロナウイルスに関連した感染症対策として、検温、マスク着用、手指消毒、3密回避のほか、健康管理を徹底しています。

甲子化学工業株式会社
年間1,000種類、1,400万個以上のプラスチック部品・製品製造の実績、誰もが1度は触れたことのあるプラスチック製品を作る大阪市のメーカー。(甲子化学工業株式会社ウェブサイト
取材日 2021年12月10日

取材場所 東大阪市の甲子化学工業株式会社生産拠点

取材対象者
甲子化学工業株式会社 企画開発部主任, 南原 徹也様

取材対象機種
UltiMaker S5 1台
Formlabs Fuse1 1台

製品に関する問合せ先:03-6803-0563 / sales@brule.co.jp

UltiMaker S5
Formlabs Fuse1
Categories
技術サポート(UltiMaker)

【技術サポート U302】 プリント(造形物)にサポート材が重なっている、積層にズレがある_UltiMaker_全機種

UltiMakerのいずれかの機種で プリント(造形物)にサポート材が重なっている、積層にズレがある

※この記事は下記に記載の機種に関する技術サポートについて記載しています

UltiMaker S7 ProBundle
UltiMaker S7
UltiMaker S5 ProBundle
UltiMaker S5
UltiMaker S3
UltiMaker 3
UltiMaker 3Extend
UltiMaker2
UltiMaker2+
UltiMaker2+Extend
UltiMaker2+Connect


XYオフセットのキャリブレーションを行ってください。

動画タイトル


1.⚙>プリントヘッド>XYオフセットのキャリブレーションを行ってください。
下記の動画の31:05からを参考にしてください。

2. シャフト(下記画像の銀色の軸)にグリスを塗布してください。
※グリスはアクセサリーボックスに付属の赤いキャップの物をご使用下さい。


改善が見られない場合

弊社サポートチームまでご連絡ください。
詳しい技術サポートについてはこちらをご参照ください。