甲子化学工業株式会社と清水建設株式会社が開発したホタテの廃棄貝殻をベースに作られた建築用3Dプリンターで造形されたベンチ「HOTABENCH(ホタベンチ)」が大阪万博にて展示されました。
このプロジェクトの製品形状の検討等において、FormlabsのSLS方式3Dプリンター「Fuse1」が使用されました。
本記事では、甲子化学工業株式会社が開発した材料の秘密とその誕生秘話をご紹介します。

甲子化学工業株式会社について
1969年創業の甲子化学工業株式会社(大阪府大阪市)は、「ものづくりで社会課題を解決する」ことを使命に掲げるメーカーです。 プラスチック成形技術を基盤としながら、近年は特に廃棄物のアップサイクル(再資源化)に注力されています。 その代表的な取り組みが、廃棄ホタテ貝殻を主原料とした環境配慮型素材「SHELLTEC(シェルテック)」の開発と、それを用いたサステナブルなヘルメット「HOTAMET(ホタメット)」であり、国内外で大きな注目を集めています。
HOTABENCH(ホタベンチ)と革新的なサステナブル素材
甲子化学工業株式会社が次なる一手として、清水建設株式会社と共同で開発したのが「HOTABENCH(ホタテベンチ)」です。 これは、2025年開催の大阪・関西万博にも常設展示されていた、ホタテ貝殻の形状を模した印象的なデザインのベンチです。
このベンチは、建設用の大型3Dプリンターを用いて製造されており、その材料に大きな特徴があります。 ベンチ1台あたりに約40kgもの廃棄ホタテ貝殻が使用されており、これは従来工法(100%コンクリート)と比較して約300kgのCO2削減にも貢献します。 砂の代替としてホタテ貝殻を原料とする特殊なモルタル(繊維補強モルタル「ラクツム」)を活用することで、廃棄物に新たな命を吹き込みました。




ベンチ開発にFormlabsのFuse1が使用されました。
「廃棄ホタテ貝殻」という天然由来の廃棄物を、安定した品質を持つ工業製品の「素材」へと昇華させるプロセスは、容易ではありません。 特に、3Dプリンターで使用する粉末材料として最適な配合(貝殻の比率、粒度、バインダーとの親和性など)を見つけ出すためには、膨大なパターンの試作と検証が必要です。
甲子化学工業は、この革新的なサステナブル素材(SHELLTEC及びその派生素材)を用いたベンチの開発プロセスにおいて、FormlabsのSLS方式3Dプリンター「Fuse」を活用されました。
Fuse(SLS方式)は、金型を必要とせず、粉末材料から直接、高精細な試作品や実用部品を造形できます。
甲子化学工業は、建設3Ⅾプリンターを造形するベンチ形状の検討において、Fuse1を活用することで、「試作→検証→改良」の開発サイクルを劇的に高速化することに成功しました。
Fuseによる迅速な形状の検証で得られた知見とノウハウが、今回の「ホタテベンチ」の開発にも活かされています。 Formlabsの技術は、革新的な素材を活用した製品開発の最前線においても、企業の挑戦を強力にサポートしています。