週に10,000〜30,000個もの部品を納品するTesla Giga Nevadaのアディティブマニュファクチャリング部門。すべての部品に対して「24時間以内の納品」が求められる過酷な環境において、Formlabsの最新SLS方式3Dプリンター「Fuse X1」が導入されました。Fuse X1の圧倒的な造形スピードと大容量のビルドボリュームにより、大型部品の分割プリントが不要になり、後処理の手間を大幅に削減。生産能力の倍増とコスト削減を同時に実現した同社の活用事例をご紹介します。
導入前の課題:時間制約と後処理の負担
Teslaのアディティブマニュファクチャリング部門では、スピードが最重要課題です。工学技師のCody Jepsen氏のチームは、従来の大型SLSプリンターを使用していましたが、「24時間以内にプリントを完了させる」という制約のため、実質的に最大造形高さの半分(約230mm)しか活用できていませんでした。
そのため、大きな部品は分割してプリントし、後から接着や研磨を行う必要があり、プリント前のデータ準備や造形後の手作業に多大な時間と労力を費やしていました。
解決策と導入効果:Fuse X1がもたらしたブレイクスルー
「Fuse X1」の導入により、この状況は一変しました。330 x 330 x 565 mmという大容量の造形サイズを持ちながら、ほとんどの造形を24時間以内に完了できるFuse X1は、Teslaのワークフローに完璧にフィットしました。
大型部品を分割せずに24時間以内で一体造形
高さ565mmのフルサイズでのプリントも24〜26時間で完了できるようになりました。これにより、従来の分割プリントで必須だった接着や研磨の工程が不要になり、手作業にかかる時間を1部品あたり1時間近く短縮。一体造形により、部品の強度と耐久性も向上しています。
リワーク用治具の生産リードタイムを145時間から24時間に短縮
従来の大容量プリンターでは、リワーク治具2個の造形と冷却に144時間、組み立てに約50分を要していました。Fuse X1では、断熱材を内蔵したモジュール式ビルドユニットにより冷却効率が向上。24時間以内に5つの治具を一体型でプリントでき、組み立て時間もゼロになりました。さらに、「Fuse Blast」による自動後処理で研磨の手間も省いています。
従来の大容量SLS 3Dプリンタ Fuse X1 リワーク治具の数 2 5 プリンタのセットアップ時間 45分 5分 造形時間+冷却時間: 144時間 48時間 組み立て時間 治具1個あたり約25分、合計約50分 0分(一体型でプリント) 部品完成までの総時間 145時間35分 24時間5分
窓付きダンネージラックの生産量を2倍に
工場間で部品を輸送するためのダンネージラックの製造において、従来はパーツを分割し、2日間かけて生産していました。Fuse X1では分割することなく、1回のプリント(24時間)で必要な数(8個)をすべて製作できるようになり、スループットが2倍に向上しました。
高密度パッキングで月産2万個の部品コストを削減
傷や跡をつけずにガラスを保持する「傷防止シム」。月に1万〜2万個必要とされるこの部品は、従来は射出成形への移行が検討されていました。しかし、Fuse X1の優れた「自動温度調整機能」により、大きな部品の隙間に小さなシムを高密度に詰め込んでプリントすることが可能になりました。これにより部品1点あたりの造形コストが劇的に下がり、金型レスでの3Dプリント生産がコスト面で最も競争力のある選択肢となりました。
現場の運用を支える優れた操作性とサポート
Fuse X1は、機器の操作性や運用面でも大きなメリットをもたらしています。
簡単なトレーニング: 従来の大型機は独り立ちまでに3〜4ヶ月かかりましたが、Fuse X1は技術者が1日で操作を習得可能です。
ダウンタイムの最小化: プリント間の切り替え(セットアップ)時間は、従来の45〜60分から、Fuse X1ではビルドチャンバーを交換するだけの実質15分未満 に短縮されました。
省スペース: 設置面積わずか1.3平方メートルとコンパクトなため、施設の増床なしに生産能力を拡張できます。
Jepsen氏は、「従来のシステムでは2〜3台のプリンターで製作していた部品数を、今ではFuse X1 1台で製作できるようになった」と高く評価しています。また、スピードが求められる現場において、Formlabsの迅速で的確なカスタマーサポートも、同社の機器を使い続ける大きな理由となっています。